昨日、6月17日「磐田・磐周医師会学術講演会」に参加させていただきました
大変わかりやすく、とても参考になるお話をうかがう事が出来ましたので、皆様にお伝えしなければと、記事投稿、意気込んでおります
岩手医科大学医学部 内科学講座 神経内科・老年学分野 准教授 高橋 智 先生による、講演『かかりつけ医のための認知症講座』です。
①
『認知症は、脳のMRIやスクリーニング検査をしなくても簡単に見分けられます』と、先生の言葉に興味をひかれました。どんな見分け方があるのでしょうか
「最近のニュースで気になったものはありますか?」
と、問いかけて見分けるそうです
認知症の疑いのない方は、「政権交替したね」「ワールドカップが熱いね」「普天間の問題はどうなるのかね」など、最近のニュースを話されます
認知症の方は、「うーん、わからない」「忘れてしまった」など、思い出すことが出来ない様子が見られます
では、「最近、目が悪くて新聞を見ていないのでわからない」「最近のニュースには興味がない」など、ごまかすような話をされる方はどうでしょう
このような方は認知症と考えられます
このようにして、99%認知症を見分ける事が出来るそうです
②
『認知症の方は、認知症治療薬の内服とともに、接する人が怒らないで優しくする事で、日常生活の支障となるような、徘徊、暴言、抵抗、妄想などが落ち着いてきます』と、先生はお話しされましたが、
周囲の方々の接し方ひとつで、症状が変わるという事ですね
どのようなことなのでしょうか
認知症が進んでくると、同じ言動を何度も繰り返したり、今まで出来ていた事が出来なくなったりしますので、ついつい、怒ったり、大きな声で注意したりしまいがちですね
でも、どうして怒られたのか、どうして大きい声で注意されたのか全く分からないのですが、「怒られた」「無視された」「大きな声を出された」と言う、
不快な感覚だけは残るそうです
そこで、人間として、
快い感覚である「うれしい」「たのしい」「落ち着く」と言う感覚をたくさん感じていただく事で、気持ちが豊かになり、日常生活で支障になるような症状が治まってくるそうです
認知症の方は、何もかも忘れてしまうと思われがちですが、
感じる気持ちはずっと持ち続けているのですね
『今、日本は家庭医ではありませんので、ひとりでいくつもの先生にかかっている方が多く見られますが、開業医の先生は、自分が主治医と言うつもりでお話を伺い、少しでも早く認知症を見分け、内服治療をすすめるとともにご家族にも日常生活での接し方をお話しして欲しいと思います
ケアマネさんとも情報交換をされていくと家庭での様子がわかると思います』
と、締めくくられました
お薬のお話などもっと盛りだくさんでしたが、今回はご家庭でも出来る事をお伝えしました
認知症のご家族に対して、常に優しくする事は難しいですね
大きな声を出してしまったり、時に手を上げそうになり思いとどまる事も多いと思います
でも、そのままでは症状の改善は図れません
主治医や介護の専門家に助けて頂きましょう
少しでも優しく接する事が出来るように、また、笑顔で話しかけられるようにする方法を一緒に考えて頂きましょう
先生はおっしゃいました
『認知症の方は、たとえ末期になってもご家族で見ていくことが出来ます』
それは、いかにしてご本人を取り巻く環境を温かなものに出来るかということに、他ならないのではないでしょうか